刺激性下剤と非刺激性下剤

便秘で悩んでいる方は非常に多いと思います。

便秘に対する下剤は市販薬も含め多数ありますが、種類が多すぎてどれを飲めばいいかわからないという方もいらっしゃると思います。
どのような薬を飲むのがいいのでしょうか? ここでは常用できる薬やしない方がいい薬などを解説していきたいと思います。
ちなみに、慢性便秘症についてはこちらで詳しく説明していますのでよければご参照ください。

まず、おおまかにわけると、非刺激性下剤刺激性下剤にわけられます。

非刺激性下剤は腸の水分を増やし、便を柔らかくして出やすくするお薬です。一般的には刺激性下剤と比べ、副作用も少ない傾向があり、連用も問題ないものが多いですが、効果はマイルドで即効性はないことが多いです。

刺激性下剤は、腸を刺激して蠕動を促進し便を出しやすくします。飲むとすぐに効果が現れやすくすっきりするため、市販薬で多く使われています。 刺激性下剤作用は強力で、時々頓服で使用する程度であれば問題ありませんが、長年毎日連用したりすると、腸が弛緩してしまい、下剤を飲まないと便が出にくいという状態になります。また腸の蠕動が激しくなることにより腹痛が起こることもあります。

目次

非刺激性下剤

酸化マグネシウム

処方薬では、最も有名なものが酸化マグネシウム(マグミットなど)です。作用としては、腸管内に水分を引き寄せ、便を柔らかくして出しやすくします。
今では新しい非刺激性下剤が登場してきて選択肢が多いですが、10数年前まではほぼ酸化マグネシウム一択でした。

現在でも使いやすく、薬価も安いため第一選択となることが多いです。

注意点としては、腎機能が悪い場合や高齢の方で長期服用すると、高マグネシウム血症を来す可能性があることです。高マグネシウム血症になると嘔気や嘔吐、意識レベルの低下など起きますので、リスクのある方は時々血液検査でマグネシウムの値を調べることをお勧めします。

アミティーザ

上皮機能変容薬とよばれるもので、小腸粘膜に働きかけ、水分分泌を促進することで便を柔らかくします。マグネシウムだけでは不十分な場合に併用することもあります。

マグネシウムと違い腎機能が悪くても使うことができます

ただ、副作用で嘔気が起きることがあり、若い女性で出やすいと言われています。

リンゼス

こちらも上皮機能変容薬と呼ばれ、腸管内の水分を増やす働きがありますが、特徴としては、大腸の痛覚過敏を改善させるという、他の下剤にはない作用があります。そのため腹痛を伴うような便秘型過敏性腸症候群に有効な可能性があります。

内服方法としては食前投与であり、食事の30分くらい前に服用するのがいいとされます。服用から間隔をあまり空けずに食事したり、食後投与、就寝前投与の場合は下痢になる可能性が高いので少し注意が必要です。

グーフィス

こちらは胆汁を利用したちょっとユニークな下剤になります。胆汁の流れや役割については「胆汁性下痢」のページで解説しておりますので良ければご覧ください。

胆汁は胆嚢から十二指腸に放出され、小腸の最後で再び回収されてしまうのですが、胆汁が大腸に流れると、水分分泌や大腸の蠕動を亢進させ、下剤のような役割をするのです。これにより下痢で困るのが胆汁性下痢なのですが、グーフィスは、便秘の人に対して、胆汁が小腸で回収されず大腸へ流れるようにする働きをします。
用法としては食事前の投与となっておりますが、食後に内服してもさほど問題ないと思われます。

ラクツロース

糖類下剤と呼ばれるものです。消化吸収されにくい糖類で、腸管に達すると、この糖を薄めようと水分が分泌されます(浸透圧の関係)。

また、大腸内で一部が腸内細菌により分解され,乳酸や酪酸などの有機酸が産生されます。この有機酸による腸管刺激で蠕動亢進作用をもちます。 肝硬変のアンモニア血症の治療として昔から使われていましたが、最近慢性便秘に対して保険適応となりました。小児の便秘でも適応があります。

モビコール

大腸内視鏡検査の前には腸管洗浄液というものを1~2リットル飲みますが、モビコールはこの腸管洗浄液の少量バージョンになります。水に溶かしてお飲みいただくタイプの薬で、浸透圧の関係から腸内で水分を増やし、便を出しやすくします。ほとんど体内に吸収されませんので、小児や高齢者の方でも安全に使いやすい薬と言えます。

刺激性下剤

まずは処方薬です。

  • プルゼニド(センノシド)
  • ラキソベロン(ピコスルファート
  • アローゼン
  • ビーマス

などがあり、全て腸管の蠕動を促進させ排便を促す薬になります。(上記の中では、ビーマス刺激性下剤非刺激性下剤のミックスであり、刺激性下剤の作用はマイルドとされています)

市販薬

次に市販薬です。
市販薬は刺激性下剤の成分を含んでいるものが非常に多いです。

成分名ではダイオウ、センナ、アロエ、ビサコジルなどになります。市販薬などで、よく「天然の成分だから…」「植物由来なので…」と身体に良さそうな文言をよく見かけますが、植物由来であれば体に良いというわけではありません(センナはマメ科の植物で、キャンドルブッシュともいいます)。

市販薬の成分をご確認ください。多くの薬で上記のような刺激性下剤成分が含まれていると思います。「新」とか、「S」とか付けて様々な名前がついて多数ラインナップがあったりしますが、結局は主成分はセンノシドなどの刺激性下剤だったりします。他にはセンナ茶などのように、薬ではなくお茶なので気軽に飲めそう!と思ってしまいそうな商品もありますが、同じです。

漢方薬

漢方薬にはダイオウなどの成分がさりげなく入っているものがあり、下剤成分が入っていることを知らずに飲まれていることもよくあります。以下に、ダイオウを含む漢方をいくつか挙げます。

  • 大黄甘草湯
  • 麻子仁丸
  • 桃核承気湯
  • 潤腸湯
  • 桂枝加芍薬大黄湯
  • 防風通聖散

    (上位に記載しているものほどダイオウの量が多くなります)

このリストを見ると、「下剤」ではなく他の効能を謳っている漢方にこっそり下剤成分が入っていることに気づかれると思います。そうと知らずに内服されて、軟便や腹痛が続いている、という方もいらっしゃいます。

刺激性下剤は頓服で使用するくらいであれば問題ありませんが、連日使い続けることによって依存性が生じる可能性があります。腸が弛緩してしまい、更に刺激性下剤を増量しないと便が出なくなり、下剤の量がどんどん多くなってしまうということもあります。

また、センノシドやダイオウなどを長期間使用することにより、腸の粘膜が色素沈着し、黒くなってしまうという現象(大腸偽メラノーシス)も起きてしまいます。

まとめ

排便は毎日必ず出さないと気がすまないと思って、下剤で無理に出しているというケースもありますが、毎日出さないといけないものではありません。2,3日に1回でも、特に不快症状などがなければ定義上便秘とは言わないのです。

毎日出さないと気がすまないとか、ダイエットなどという理由で刺激性下剤を連用するのは控えましょう。

便秘の場合は酸化マグネシウムなどの非刺激性下剤をベースに使用し、それでも出ないなら刺激性下剤を頓服で使うのが理想です。長年刺激性下剤を使い続けていた方は急に中止すると出なくなってしまいますので、非刺激性下剤に切り替えつつ少しずつ刺激性下剤の使用頻度を減らしていくようにしましょう。



山科駅前おかだクリニック 院長 岡田 雄介

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