ピロリ菌について

イントロダクション

ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃に感染する細菌です。この細菌は胃に生息し、胃酸の元でも生き残ることができます。
この細菌は胃潰瘍や胃癌、他様々な疾患に強く関連していることがわかっています。

感染経路は、未だはっきりとはわかっていないものの、口から口への接触や、幼少の頃に衛生状態の良くない水などを摂取したことが原因と考えられています。そのため、高齢者のピロリ菌感染率は50%以上と高くなりますが、若年になるほど感染率は低くなります。

また、ピロリ菌が慢性感染するのは免疫がまだ不十分な幼少期の頃の感染で、大人になってからの感染はあまりないと言われています。

症状や関連する疾患

ピロリ菌に感染しても、無症状であることが多いですが、中には胃の不快感や腹痛などの症状が出る場合もあります。

ピロリ菌感染と関連する疾患は次のようなものがあります。

萎縮性胃炎
・胃・十二指腸潰瘍
・胃癌

・胃過形成性ポリープ
・鉄欠乏性貧血
・胃マルトリンパ腫
・特発性血小板減少性紫斑病

ピロリ菌が感染していると、慢性胃炎の一種である、萎縮性胃炎という胃炎が起こり、徐々に炎症が広がっていきます。炎症が起こった粘膜からは、胃癌や胃潰瘍の発生のリスクになります。

診断

ピロリ菌感染を診断するには、血液検査、呼気試験、便検査などの方法があります。ただし、ピロリ菌の検査を保険診療で行うには、約半年以内に胃カメラを受けられ、ピロリ菌による萎縮性胃炎が確認されている事が必要です。

治療

ピロリ菌を除菌するには、抗生剤2種類と胃酸分泌を抑える薬を7日間内服します。内服後は、1ヶ月以上空けてから、呼気試験や便検査で除菌できたかどうかの判定をすることが望ましいです。
初回の治療で90%以上の方は除菌成功しますが、除菌できなかった場合は抗生剤の種類を変更し、二次除菌を行います。
二次除菌まで行うと約98%程度で除菌成功します。

除菌したあとも、萎縮性胃炎はすぐに正常にはなりません。除菌後も萎縮した粘膜から胃癌が発生することもありますので、除菌後も定期的な胃カメラの検査は受けられることをおすすめします。