(過敏性腸症候群のページに記載しておりましたが移動しました)
昔から、あるいはおなかの手術をしてから、「ご飯を食べるとすぐに下痢になる」「いろいろな下痢止めを処方されたが全く効かない」、という方はおられますでしょうか。
もしかすると胆汁性下痢かもしれません。胆汁性下痢はあまり知られていない病態のため、適切な治療がされず長年下痢で苦しむ方がたくさんいらっしゃいます。ストレスも特にないのにストレスのせいでしょう、と片付けられてしまうこともあります。
まずは胆汁の流れについて説明します。
①まず、胆汁は肝臓で作られ、
②胆嚢に蓄えられます。
③食事をすると、主に脂肪に対する消化酵素として、食後に胆のうから十二指腸に分泌されます。
④胆汁は通常小腸で再吸収され、
⑤肝臓に戻りリサイクルされ再び胆汁として使用されます。
そのように循環しているのですが、何らかの原因で胆汁が十分吸収されずに大腸に流れ込むと、大腸で水分分泌を促し、消化管運動を亢進させるはたらきもあるため下痢を来たします。(余談ですが、胆汁のその作用を利用して、逆に下剤として開発されたものがグーフィスです)
・胆汁は消化酵素で、小腸でリサイクルされ循環している
・胆汁は大腸に流れ込むと下剤の役割をしてしまう
胆汁性下痢の症状・特徴
症状や特徴としては、以下のようなものがあります。
・長年続く下痢症状
・食べるとすぐに下痢になる(特に朝や、油こい食事の後)
・下痢止めや整腸剤、過敏性腸症候群の薬は全く効かない
子供の頃からずっと下痢で、体質だということで慣れてしまってしまっている方も多いです。
胆汁性下痢の原因
胆汁が大腸に流れ込んでしまうことが胆汁性下痢の病態なのですが、その原因としては以下のようなものがあります。
1型:小腸の終わりの部分(回腸)を手術することにより胆汁を回収できず、大腸に流出してしまう。(虫垂炎でも炎症がひどい場合はこの部分を切除する場合があります)。
2型:形態的な異常はないが何らかの機能の異常により、胆汁が過剰産生されてしまう。
3型:胆嚢摘出術後、腸内細菌の過剰繁殖、膵臓の機能不全などにより、小腸運動の変化、胆汁のサイクルの変化などが起きると考えられている。
胆汁性下痢の治療
このタイプは通常の過敏性腸症候群の薬は効果がありません。胆汁を吸着する薬によって下痢を抑えることができます。対症療法にはなるため根治というものではありませんが、薬がよく効きますので、上記症状に心当たりのある方は是非当院でご相談ください。
遠方のかたへ
慢性下痢で困っておられ、胆汁性下痢を疑っているが遠方で受診できないという方はcuronによるオンライン診療でも診察させていただくことは可能です。
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